不妊手術では子宮や卵巣を取り除く処置を行っています。不妊手術は予定しない繁殖を避ける効果に加えて、生殖器などに関連する病気を防止することや、発情期特有のストレスから動物を開放することも期待できます。
ただし、不妊手術を行った後は繁殖することは不可能になりますからその点はご理解の上で行うようにしてください。
- 病気になるリスクを減らす予防
- 偽妊娠による乳房の張りや乳汁がでたりするのを減らす
- ヒートによる発情出血を押さえる
- 発情期を迎えた猫の大きな鳴き声を軽減する
乳腺腫瘍は、乳腺の周辺にしこりができたことから飼い主さんが発見するケースが多い病気です。犬にも猫にも見られる病気で、悪性腫瘍である確率は猫の場合は9割、犬なら5割程度です。他の臓器に転移することも多いのがこの病気の特徴ですが、早い時期に不妊手術を受けておくことで発症する可能性を大きく下げることが可能です。
特に犬は初めての発情前に処置を受けることで発症率を0.05%と非常に低くできます。時間が経過しても1回目の発情後なら1割程度、2回目以降なら2割以上と明確な差があります。
猫の場合も早いほど発症率を下げられますので、お早めにご相談ください。
子宮蓄膿症は子宮の中で細菌が増殖することで膿がたまっていく病気で、命を落とすこともあります。
犬は発情後の1、2ヶ月間に細菌が侵入しやすい傾向が見られ、発症もこの時期が多いです。
発情後に出血が長引いたり、オリモノが見られたり、生殖器の周辺を気にしていたり、元気が無いようであれば、放置せずに当院に相談されることをお勧めします。
不妊治療を行うことによって、卵巣腫瘍にかかるリスクはゼロになります。
オスの場合は精巣を摘出することで生殖する能力を取り去ります。
人間の都合で能力を奪うのはかわいそう、または不自然と思われる方も多いですが、動物にとってもデメリットばかりではないことはご理解ください。
去勢手術をすると性格的におとなしくなりますから、他の動物とケンカすることも減って不要なケガを避けることができますし、いくつかの病気の予防にもなります。
去勢手術をすれば繁殖は出来なくなりますので、ご検討の上でご相談ください。
陰睾
陰睾(いんこう)は精巣が陰嚢内に降りてこず、鼠径部の皮下や腹腔内にとどまる状態で、犬にも猫にも見られます。潜在精巣と呼ばれることもあります。オスなのに生後30日を過ぎても玉袋が見当たらない場合や玉袋が片方しかないという時には陰睾を疑ってください。
精子が生み出されないので繁殖ができないこと、放置すると精巣腫瘍になりやすいことなどの影響があります。
- 発情期のストレスが減る
- 性格がおとなしくなってケンカが減る
- 病気を予防できる
- マーキングの回数を減らすことができる
去勢手術による変化・影響には個体差が大きく、受ける時期によっても違いがあります。具体的に当院にご相談いただければ丁寧にお答えいたします。
前立腺肥大症はオス特有の病気で、年齢と共にリスクが上がる傾向があります。症状として出血が見られたり、尿道が圧迫されて排尿が困難になることなどがあります。
肛門周囲腺腫は肛門の周辺に見られる腫瘍で、8割は良性と言われています。しかし、動物自身が地面にこすりつけたりなめたりすることで化膿、出血するケースも見られます。手術で摘出可能ですが、取りきれなければ去勢手術を行うこともあります。
会陰ヘルニアは高齢の犬によく見られる病気です。会陰部から前立腺や直腸、小腸、膀胱などが飛び出すことで、排尿、排便に支障をきたす病気です。
去勢すれば精巣が摘出されるので、精巣腫瘍のリスクがなくなります。