当院では獣医腫瘍科認定医による腫瘍科診療を行っております
人間でも3人に1人はがんで亡くなっていると言われていますが、犬や猫でも動物医療の進歩により平均寿命が延びることで、犬では54%、猫の38%が腫瘍(がん)が原因で亡くなると言われています。
これは犬猫ともに死因の第一位を占めていることになります。
それを減らすためには早期に適切な診断をし、迅速な治療をすることが重要となります。
そのためにも専門知識と豊富な経験が必要です。
西川動物病院ではそれぞれに合わせた適切な治療を提案いたします。
「しこり」「できもの」は全身のどこにでも発生します。
それが良性なのか悪性なのか、どこまで広がっているのか、転移はあるのかを詳しく調べていきます。
同じ病名でも腫瘍の広がり、悪性度、転移の有無によって治療法が全く異なってくるため、最も重要なステップです。
注射用の針を使い、細胞を採取し、それを染色してから顕微鏡で見ます。
しこりが炎症で腫れているのか腫瘍なのか、腫瘍ならばどういうタイプの腫瘍なのか予測をたてます。
細胞診では確定診断できる腫瘍は限られていますが治療方針を立てる上では非常に重要な検査です。
様々な画像診断を行うことで、腫瘍が発生している臓器、位置、大きさ、浸潤の程度、転移の有無を調べます。
腫瘍による合併症や基礎疾患の有無を調べます。
人間のように腫瘍マーカーで調べることはできるかどうか聞かれることがありますが動物ではまだ発展途上のため実用的な腫瘍マーカーはほとんどありません。
腫瘍をかたまり(組織)として採取することで病理検査を行い診断します。
鎮静や全身麻酔が必要な場合が多く、結果が出るまで数日を要します。
全ての診断結果を分析した上で、治療の選択肢とそれによる今後の予測を詳しく説明し、治療方針を飼い主さんと相談して決めていきます。
治療によって根治が望める場合には積極的な治療を推奨いたしますが、既に進行して根治が望めない場合には生活の質を重要視するのか、生命の量を重要視するのか、ご家族の意見を尊重しながら治療法を一緒に模索していきます。
主な治療法は人間と同じで外科手術、化学療法(抗癌剤)、放射線療法がメインとなります。
固形がんに対して最も効果的な治療法で、手術により摘出することで根治(完治)が望める可能性も高い治療です。
腫瘍外科で大事なことは腫瘍細胞を残さないことが最も重要で、腫瘍の見た目以上に広範囲に摘出する必要があり、根治が望める反面、後遺症が残る可能性もあります。
当院ではほとんどの腫瘍外科に対応可能で、短時間で痛みの少ない負担を最小限にした手術を行います。
- 皮膚腫瘍摘出
- 乳腺腫瘍摘出
- 眼球摘出
- 耳介摘出
- 口腔腫瘍摘出
- 舌腫瘍摘出
- 甲状腺腫瘍摘出
- 唾液腺癌摘出
- 胸腺腫摘出
- 肺腫瘍摘出
- 肝臓腫瘍摘出
- 胃腫瘍摘出
- 腸管腫瘍摘出
- 脾臓腫瘍摘出
- 腎臓腫瘍摘出
- 副腎腫瘍摘出
- 膀胱腫瘍摘出
- 膵臓腫瘍摘出
- 卵巣腫瘍摘出
- 精巣腫瘍摘出
- 直腸腫瘍摘出
- 肛門嚢腺癌摘出
- 断脚(骨腫瘍) など
リンパ腫などの血液系腫瘍や手術後の補助治療などに行います。
抗癌剤と聞くと副作用がキツそうというイメージがつきものですが効果と副作用は表裏一体のため「さじ加減」が重要です。
副作用を気にして薬を減らし過ぎれば効果は半減する可能性もあり効果を最大限保ちつつ副作用を最小限にするには多くの経験と専門的な知識が必要です。
副作用の出方は個体差が大きいため、それぞれに合わせた治療を行なっていきます。
がんが進行して根治が望めない状態でこれ以上苦しめたくないという場合には「メトロノーム化学療法」※を提案することもあります
これまでの抗癌剤の使い方と違って少量ずつ投与することでがんとの共存を目指す「がん休眠療法」です。 治療の目的としては完治を目指すのではなく、腫瘍が小さくならずとも大きくならなければ治療効果があると判断します。
薬の内容としては通常の1/20〜1/10程度の抗癌剤と抗がん効果のある痛み止めを併用して治療します。副作用としては通常の抗癌剤よりもはるかに少ないですが膀胱炎が起こることがあります。
手術不可能もしくは手術の効果が望めない腫瘍に対して、また手術後に再発する可能性が高い場合に行います。
放射線自体は痛みはありませんが、患部に誤差なく当てるためには動物の場合、毎回全身麻酔が必要になります。また1回で済む治療ではなく少なくとも数回〜10回以上当てなくてはなりません。そのためどうしても医療費が高額になってしまうことと、放射線治療の施設が滋賀県にはなく岐阜大学など専門の病院しかないため紹介させていただくことになります。